同異第四十ー
上士聞道、勤而行之。 |
上士は道を聞けば、勤めてこれを行う。 |
優れた人が「道」のことを聞くと、力を尽くしてそれを実践しようとする。 |
中士聞道、若存若亡。 |
中士は道を聞けば、存るが若く亡きが若し。 |
普通の人が「道」のことを聞くと、半信半疑となる。 |
下士聞道、大笑之。 |
下士は道を聞けば、大いにこれを笑う。 |
くだらない人が「道」のことを聞くと、馬鹿らしいと大笑いする。 |
不笑、不足以爲道。 |
笑わざれば、以て道と為すに足らず。 |
このような人たちに笑われるくらいでなければ、「道」とは言えないのである。 |
故建言有之。 |
建言:格言 | 故に建言にこれ有り。
だから、次のような格言がある。 |
明道若昧、進道若退、夷道若纇。 |
夷:でこぼこ 纇:起伏が大きい | 明道は昧きが若く、進道は退くが若く、夷道は纇なるが若し。
正しく明らかな道は暗いように見え、正しく進んでいる道は後退しているように見え、平坦な道はでこぼこと起伏があるように見える。 |
上徳若谷、大白若辱、廣徳若不足。 |
辱:汚れているもの | 上徳は谷の若く、大白は辱なるが若く、広徳は足らざるが若し。
高い徳は谷のように低く見え、大いなる潔白は汚れているように見え、広大な徳はまだ足りないように見える。 |
建徳若偸、質眞若渝。 |
偸る:なまける。だらける。 質真:質朴で純真な心。心が質朴で正しい人。 | 建徳は偸るが若く、質真は渝るが若し。
しっかりとした徳を持っている人はだらけているように見え、純粋な人は変わりやすいように見える。 |
大方無隅、大器晩成、大音希聲、大象無形。 |
大器は晩成し:本当に優れた器(偉大な人)は、できあがるのが遅い。 希声:ほとんど聞こえないこと | 大方は隅無く、大器は晩成し、大音は希声、大象は形無し。
本当に優れた方形には角が無く、本当に優れた器(偉大な人)はできあがるのが遅く、本当に優れた音は聞き取れず、本当に優れた形には明確な形が無い。 |
道隱無名。 |
道は隠れて名無し。 |
つまり「道」とは目に見える事象の裏側に隠れていて、名がつけられない。 |
夫唯道、善貸且成。 |
夫れ唯だ道は、善く貸し且つ成す。 |
しかし、そもそも「道」だけが万物に力を貸して、成し遂げるものなのである。 |
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